« 本でいいのかな。本がいいのかな。 | トップページ | 読書感想『本当にあった ホテルの素敵なサービス物語』 »

2007/08/16

増刷はうれしいのだけど

法律関係の本は、増刷時にたいていの場合、多かれ少なかれ本文をいじる。その本が印刷されて、増刷が決まるまでのあいだにたいていは、なにかしらの法改正等があるから、増刷時に、その時点で施行されている、もしくは施行が決まっている新しい法律、改正された法律の内容について、本文に書き加えたり、修正したり。また、その時点では廃止になっている特例などもあったりするので、そういうのは削除したり、別の内容に差し替えたり。そうした修正・調整を加えて増刷する。

増刷が決まるのは、たいていは社内在庫が少なくなってきたから。かつ、まだ市場(書店さん)からの注文がそれなりのペースであり、今後も一定期間そのペースが維持されるであろうことが予想されるから。

社内在庫が少ないとはいっても、ゼロではない。販売機会ロスを出したくないので、ゼロになる前に増刷する。それに、仮に社内在庫がほぼゼロになったとしても、市場(書店さんの棚)には商品がけっこうたくさん残ってる。そんな状態で、増刷をする。

本は、何度も増刷を重ねていくことで、利益を出していく商品だ。初版だけで終わってしまうと、たいていの場合、出版社にはほとんど利益が出ない。初版が売り切れずに断裁などとなると、間違いなく赤字。だから、増刷はうれしい。何度も増刷される本は、会社の資産だ。宝だ。

でも、と思う。

本は、増刷されて、そのときに本文に修正等が入っても、書名やカバーなどの「見た目」が変わらない。いま、その書店の棚に入っている本が、増刷前の本なのか、増刷後の本なのか、奥付を見ないとわからない。奥付を見て増刷されていることがわかったとしても、では、増刷に際して修正等が行なわれたのか、行なわれたとしたら、それがどの程度の修正だったのか、たんなる誤字等の校正だけか、内容の書き換えがあったか、項目の差し替えがあったか、お客さんにはわからない。

そして本は、増刷前のものも増刷後のものも、数世代のものが同時期に販売される。見た目は同じだけど中身がちょっとずつ違うものが、同時期に、同じ値段で、あたかも同じ商品のような顔をして、市場で売られている。

在庫が減ってきたから、増刷しよう。せっかく刷るのだから、現状と合わなくなっているところを修正しよう。それは、いい。

でも、このときに、増刷前の「現状とあわなくなっているところがある」商品を、回収したりすることは、まずない。現状と合わなくなっている部分もあることを告知することも、まずない。

なぜなら、現状と合わないのは全体のうちのほんの数パーセントだから? その他の部分はいまでも充分に役に立つから? ほんの数パーセントの直しのたびに、それ以前の本を回収・廃棄処分にしていたら、コストがかかってしかたがないから? 営利企業としては当然の判断なのだと思うけれど、この業界では当たり前のことで、多くの会社が同じように判断しているのかもしれないけれど。

だって、お客さんは、その「ほんの数パーセント」のところが知りたくて、この本を買ってくれたのかもしれない。書店の棚で手にとったその本が、増刷前の「現状とあわなくなっているところもある」商品だと気づかずに、その後に法改正等があったことも知らずに、古い本を購入し、その記述を頼りにいろいろな手続きなどを進めようとしているのかもしれない。

その「ほんの数パーセント」の修正箇所が、お客さんにとっての「充分に役に立つ」はずだった場所なのかもしれない。

それがわかっていながら、増刷前の本はぜんぶ返品してくださいと販売店にいえずにいる。もうすぐ内容を修正した増刷ができあがるから、最新版は何日付の何刷だから、それ以前の本を書店で見かけても買わないでくださいとお客さん(読者さん)にいえずにいる。たしかに増刷前の本の社内在庫は残りわずかだけど、市場在庫がどれだけあるのかわからないから。本は返品のきく商品だから、もし市場に数千冊単位で在庫があった場合、それがぜんぶ返品され、その分の返金をしたなら、増刷なんかするんじゃなかったという結果になりかねないから。

だから、すでに「現状とあわなくなっているところもある」ことを知りつつも、それが書店の棚から売れていくことを願ってしまう。待ってしまう。そして、なにごともなかったように増刷分をまた市場に送り込む。それがいつ刷られた本なのかは、奥付を見れば誰でもわかることだから、それを確認せずに古い本を売るのは販売店の怠慢、確認せずに古い本を買うのは購入者の怠慢と、そこに逃げ道を用意して。

増刷になるのはうれしいけれど、法律関係を扱った内容の本のときは、あまり素直に喜べない。ごめんね。

====================
《新刊プレゼントやってます》

「本を読んで新刊ゲット!」プレゼントやってます。今月のプレゼント書籍はこちら。

☆好かれれば9割成功 嫌われれば9割失敗
  前田大輔 / 定価1365円
☆銀座流 売れっ娘ホステスの会話術
  コタロウ / 定価1470円
☆なぜか35歳から伸びる人・落ちる人
  清水克彦 / 定価1470円

応募方法等はこちらをご覧くださいね。今回の応募期間は8月26日(日)まで。エントリー、お待ちしてます。


====================
《新聞広告掲載予定のお知らせ》

8月の新聞広告掲載予定です。

日経新聞   8月3日(金)
(明細)
★成功するのに目標はいらない!

日経新聞   8月9日(木)
(明細)
★手塚治虫 未来へのことば
★遊びも付き合いもやめない勉強法
★成功するのに目標はいらない!

北海道新聞  8月8日(水)
神戸新聞   8月8日(水)
中国新聞   8月9日(木)
東京新聞   8月14日(火)
中日新聞   8月14日(火)
西日本新聞  8月17日(金)
(明細)
★手塚治虫 未来へのことば
★眠れぬ江戸の怖い話
★遊びも付き合いもやめない勉強法

書店さん、品揃えよろしくお願いします。
読者さん、広告を見かけたら、ぜひ書店さんで実物のご確認を。

|

« 本でいいのかな。本がいいのかな。 | トップページ | 読書感想『本当にあった ホテルの素敵なサービス物語』 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

本に関して想うこと」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1238244/30353584

この記事へのトラックバック一覧です: 増刷はうれしいのだけど:

« 本でいいのかな。本がいいのかな。 | トップページ | 読書感想『本当にあった ホテルの素敵なサービス物語』 »