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2008/01/29

手皿はマナー違反なのか


「手皿はマナー違反だ」ということを声高に主張する人が最近増えてきたような。テレビのCMの影響でしょうか。ちなみに「マナー」に対して「違反」とか「守る」という表現を使うのは違うように思うのですけど、どうでしょう。「ルール」なら「守る」ものだから「違反」もあるけど、「マナー」は「身につける」ものですよね。

それはともかく。

正確なことは知らないのだけど、たしか、和皿の多くはもともと「食べるときは手に持って、口元まで運ぶ」ことが想定されていると聞いたことがあります。たとえばご飯茶碗も口元まで持っていってご飯を食べますよね。これを、茶碗はテーブルに置いたまま、はしの下に手皿をしながらご飯を口に運んだら、そりゃおかしいだろと思います。おそらく、そこから「手皿はみっともない」という考え方が出てきたんじゃないかしら。大皿の料理も、手皿をしながら大皿から直接口に運ぶのではなく、小皿(受け皿)に取り分けて、その小皿を手に持って食べる。そういうことですよね、きっと。

でも、ご飯が洋皿(平たい皿)に盛られてたらどうするんでしょう。洋皿は逆に、手に持たないのがたいていの場合の西洋マナー。手に持たないお皿の上に、器を手に持って食べるものが載っている状態です。お箸で食べる洋食レストランとかではよく見かける光景ですね。この場合も手皿はマナー違反?

かってな推測ですが、食べるときには小皿や茶碗を口元までもっていくのは、食べ物がこぼれてテーブルを汚したらみっともないからだと思うんです。しかも箸で食べ物を取るときは、フォークのように差したりしてはいけないし(差し箸はだめといわれますね)、フォークのようにすくって乗せることもできません。たった2本の細い棒切れで、ある種芸術的な繊細さを持って食べ物を挟んで口に運ばなきゃいけない。そりゃ、フォークにくらべて食べ物がこぼれやすいでしょう。こぼれやすいから、こぼれてもいいように受け皿を口元まで持っていくことにしようと思ったんじゃないかしら。だから、そういうふうに使えるような食器をつくったのではないかなぁと思うわけです。

ここでの、いちばんの目的はなにか。それって「食べ物をテーブルにぼろぼろこぼすのはみっともない」ということじゃないかと。

こぼさないように受け皿等があるなら、それを使うほうがみっともなくないでしょう。受け皿等があるのに、それを使わずに手皿をするのは美しくないと思います。でも、大皿や洋皿で料理が提供され、箸で食べろというのだけど、取り皿や受け皿が提供されない場所ではどうでしょう。日本の飲食店には最近そういうお店がたくさんあると思うのですけど。

この場合はむしろ、手皿をしたほうが美しいかなと思うんです、自分。

本来的な「理由」が「テーブルにぼろぼろこぼすのはみっともないから」だとしたら、それを回避するための手段をとるのが「マナー」ではないかと。ただ、その回避手段にはいくつかのやり方があって、そのやり方ごとに「美しさ」の差があるだけかなと。だから、使える手段が複数あるのなら、そのなかからいちばん「美しい手段」を使えばいい。ひとつしか手段がないのなら、あまり美しくなくてもその手段を使えばいい。その手段自体が元の「理由」よりもみっともないというならまた別ですけれど。

「手皿」というのはたんに「いちばん美しい手段ではない」というだけのことではないかなぁと思うわけです。そして、いわゆる「マナー」として語られる所作等の多くは「いちばん美しい手段だけ」なのかもなぁと。

で、もし自分がマナーに関した本の制作にかかわるとしたら、どういった所作が「マナー」と呼ばれているかだけでなく、なぜそれがマナーとなったのか、そもそもの目的や理由はどこにあったのかといった背景をきちんと解説・紹介し、読者さんが「なるほど、だからこうすることが理にかなっているんだ、美しいんだ」ということがわかるようなものがいいなと思うのだけど、たぶん売れるのは「こうするのがマナーです」と言い切って、具体的なアクション以外の余計な背景などは省いたようなものなのだろうな。

だってきっと、最近の若い人(だけでもないか)の多くにとって「マナー」と「ルール」は同じもので、意味よりも形が大切で、その形を守らない人は「攻撃の対象」になっているように見えるから。意味も理由もわからず手皿をする人を攻撃し、手皿をしたからと意味も理由もわからないまま攻撃される。自分が攻撃されたくないなら「手皿をしない」という形さえ身につければOK。意味や理由なんか必要ないもんね。

マナーに限らず、そういう本ってきっと、さまざまなジャンルにありますよね。自分もつくったことがありますね、たぶん。そうした本たちが、こうした傾向をさらに後押ししているのだとしたら、哀しいことだな。

あぁ、考えがまとまんないなぁ。要するに自分はなにが気に入らないんだろう? まぁいいか。みんな帰ってしまって社内に誰もいないから、自分ももう帰ろう。




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コメント

ある時期以降の日本では、受け皿がないときには懐紙を使うのが「ルール」だったので、
手皿は「違反」だと言われるのでしょうね。

日本は、マナー以前の問題として「命を大切にする」という意味で
食事の作り方(料理の時の包丁の入れ方や食材の触り方)にも、食べ方にもルールがあります。
基本的に調理の時も食材に素手で触らないのが食材に対する敬意ですから、
食事を素手で受ける手皿なんてもっての他なのでしょうね。

投稿: マナーレス人 | 2008/02/05 23:36

手に料理が落ちたらペロペロ舐めるんですかね?

投稿: | 2013/12/19 12:53

大皿からの料理は取り皿をもらえば良いだけ、小分けせず大皿から直接食べたら大顰蹙を買い摘み出されるでしょうね。
個別のお皿に対してはイタリア人のパスタの食べ方を見ると判りやすい、お皿を体の近くまで寄せて食べこぼしを皿に落とす様にして食べるのですよ。

投稿: | 2018/05/01 01:01

「手皿」は正式なマナーじゃないけど、下品とかみっともないとは決して思えない。
むしろ背筋を伸ばして器を口元に運ぶ所作が身に付いてる証だろう。

一方で、上体を屈めて顔をテーブルに近付ける「犬食い」はみっともなく下品。
「手皿はマナー違反」が広まったせいで、むしろ犬食いのマナー違反が増えてる気がする。

投稿: | 2019/06/10 18:43

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